別グループと別れ、チェコを離れて、北アイルランドに移動した。
北アイルランドはイギリス連合王国の一部で(スコットランドと同じ)、独立国ではない。ダブリンが首都のアイルランドとは別物である。念のため。
急きょ試験的に参加することになったメンバーの高校を訪ねたり、そのメンバーの家におじゃますることになったのである。
首都のベルファストは、大きすぎず小さすぎず、都会すぎず田舎すぎず、という感じの街だった。とりあえずタクシーで観光へ。
観光なので、軽く考えていたのだが、案内されるところがなぜかIRA(アイルランド共和国軍。アイルランド独立闘争を行った武装組織)の記念碑とか、勇者のお墓とか、スローガンをアピールした壁画とか。他にないのか。
そういえばここはIRAの本拠地。対英テロ組織である。怖いったら。
なぜかタクシーの運転手がそういうところばかりに連れて行き、私たちに熱く勇者について語ってくれるのである。いまにも泣きそうに。なんで・・・?
しかし、だんだんこの独立闘争の深刻さがわかってくると、なんともいえない気持ちになった。
勇者のお墓の近くに白い壁の建物があって、そこに観光客によって平和をアピールするメッセージがたくさん書き込まれている。私たちのグループもそこへメッセージを寄せることにした。
それぞれの国の言葉で、「平和」と書きこんだ。
アイルランドの独立や統一は簡単なことではないし、難しい歴史があるのだということは後で調べて知った。でも、テロはいかんよ。
一見平和なベルファストの街に、IRAの活動の跡が残されているのを見て、聞いてしまうと、平和ってなんだろうと思う。彼らも独立と平和を求めているはずなのに。とにかく、悲劇を繰り返すのだけはやめてほしいものである。